日本未熟児新生児学会雑誌 24(3):419-441;2012 印刷する
日本未熟児新生児学会雑誌 第24巻第3号 419~441頁(2012年)
正期産新生児の望ましい診療・ケア
日本未熟児新生児学会 医療提供体制検討委員会
佐藤和夫・林 時仲・網塚貴介・板橋家頭夫・大木 茂・加部一彦・楠田 聡・田村正徳・中尾秀人・渡部晋一・和田和子・梶原眞人(委員長)
---はじめに---
 現在,正期産で出生し出生時に明らかな合併症を持たない新生児は,「正常新生児」と呼ばれている。しかし,この児が「正常」であるかどうかは,新生児期を問題なく経過して初めて言えることであり,あくまで結果論である。したがって,出生時に「正常新生児」と分類し,そのまま対応することは正しくない。また,このいわゆる「正常新生児」と呼ばれる新生児は疾患を有していないとされるため,医療施設の収容患者ではあるが,入院患者としてはカウントされず,単なる母体の付属物として扱われている。その結果,新生児のケアのために必要な看護要員の配置が実際には不十分となり,そのケアも不十分となっていることが多い状況にある。また,NICU に入院する早産児や疾病を有するハイリスク新生児と異なり,いわゆる「正常新生児」のケアや診療の望ましい在り方については,本学会としても十分に議論してきたとは言えない。
 そこで今回は,正期産で出生する新生児が,出生前から退院後に至るまで,どのような診療・ケアを受けることが望ましいのかをまず本委員会で検討した。そして,ここに「正期産新生児の望ましい診療・ケア」として提唱する。今後,この内容が新生児を取り扱う全ての施設で実践されていくことを期待する。
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